研究概要 |
3次元マイクロ加工システムの予備試作を行ない,3次元マイクロ加工システムの実現可能性を実証した。試作した加工システムは,露光チャンバサイズ0.6m×0.6m×0.6m,真空排気用にターボ分子ポンプとロータリーポンプを有し,1×10^<-5>Torr以下の真空中および大気圧以下のヘリウムガス雰囲気におけるX線露光が可能である。移動マスクX線露光用のX線マスク微動機構(分解能1nm)、基板回転機能(360°)および基板チルト機能(±90°),基板のX-Yスキャン機構(25mm×50mm),マスクと基板のマニュアルアライメント機構を有する,マスク枚数1枚、マスク・ステージ移動制御自由度6のシステムである。コンピュータによる装置のモニタおよびステージ動作制御が可能である。基板チルトおよび基板スキャンに使用した3ステージは,他ビームラインからの借用品であるため,動作レンジなどに制限はあるものの,基本的な加工に関する基礎データを得ることができた。真空中およびヘリウムガス雰囲気中でのSR照射X線によるPMMA加工の基礎データを得ると同時に,基板回転,基板チルト,基板位置合わせの機能が真空露光中にスムーズに動作し,かつこれらを組み合わせることによってマイクロレンズ,マイクロプリズム,マイクロノズル,マイクロギヤなどの製作が可能であることを確認した。この実験によって3次元マイクロ加工システムの実現可能性が実証できた。また実験によって3次元マイクロ加工システムに必要なステージ仕様が明らかになった。来年度はこの実験結果に基づいて,今年度導入した露光チャンバーに新しいステージを組み合わせて,マイクロ3次元構造加工システム(マスク枚数2枚、マスク・ステージ移動制御自由度6)の開発を進める予定である。
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