研究課題/領域番号 |
12355015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
冷水 佐壽 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50201728)
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研究分担者 |
石川 浩 (株)富士通研究所, 基盤研究所, 主任研究員
北田 貴弘 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (90283738)
下村 哲 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (30201560)
大坪 孝二 (株)富士通研究所, 基盤研究所, 研究員
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キーワード | InGaAs / 高指数面GaAs基板 / 自己形成型量子細線 / MBE成長 / 面発光量子細線レーザ |
研究概要 |
本研究では、(775)B等の種々の高指数面GaAs基板上に分子線結晶成長(MBE成長)によって作製した自然形成型InGaAs量子細線結晶を用いた、発振波長850nmの、偏向モードの安定した面発光型量子細線レーザの開発を行っている。これまでに、以下のような研究成果が得られた。 1.自己形成型InGaAs量子細線構造を実現するには、InGaAsの厚さを2-4nm程度に薄くしなければならない。この場合、形成される量子準位がバリアポテンシャルに近いためキャリアの閉じ込めが弱くなる問題がある。キャリア閉じ込めの改善を目的に、薄いAlAs障壁(障壁層の厚さ:0.5-1nm)を用いてIn_<0.15>Ga_<0.85>As量子細線を積層した構造をMBE成長し、ホトルミネッセンス(PL)によりその特性を評価した。結果、積層したInGaAs量子細線は、閉じ込めが強くなることによって生じるPLピークの低エネルギー側へのシフト(66 meV)及び10-20倍のPL強度の増大が得られた。また、積層したInGaAs量子細線は細線方向に強く偏向し、PL半値幅も小さい、すなわち、高品質な量子細線構造であることを示しており、積層したInGaAs量子細線構造を用いることにより量子細線レーザの特性を大きく改善できることが期待できる。 2.これまで、InGaAs量子細線構造は(775)B GaAs基板上へのMBE成長により作製してきたが、さらなる品質改善を目指して、(nnl)A,(nnl)B GaAs基板上へのMBE成長を行った。その結果、(221)A GaAs基板上に作製したIn_<0.22>Ga_<0.78>As膜は、[1-10]にまっすぐに伸びた周期20nm、振幅1.5nmの極めて均一な表面コラゲーションを示すことがわかった。また、この表面コラゲーションを用いて作製した(221)A In_<0.22>Ga_<0.78>As/GaAs量子細線のPL特性は、細線方向に強い偏向(偏向度:0.2)を示し、PL半値幅が5.8meVと自己形成型InGaAs量子細線では世界でもっとも小さい値が得られた。 3.(775)B GaAs基板上にInGaAs量子細線を活性層とする面発光型量子細線レーザ構造をMBE成長により試作した。量子細線面発光レーザの構造は、28ペアからなるn型のDBR、5層のIn_<0.1>Ga_<0.9>As/(GaAs)_6(AlAs)_1量子細線からなる活性層、p型DBR(28ペア)である。Ti-sapphireレーザ(波長777.7nm)を用いた光励起により、室温で、励起強度が7.7nm/μm^2でレーザ発振することを確認した。
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