研究概要 |
本研究では,従来のシリカファイバを用いた光通信システムとの互換性が高く,これまでボトルネックであった半導体レーザについて,温度特性に優れGaAs基板上に製作する新しい波長帯である1.2μm帯を提案し,実装性,単一モード動作,低消費電力といった特徴を持つ半導体レーザに適用することで新しい光ファイバシステムを検討することを目的としている. GaAs基板上の波長1.2μm帯の半導体として,高歪GaInAs量子井戸の成長機構解明とストライプ型レーザによる量子井戸特性の評価を中心に行い,単面出射型レーザにおいて低しきい値電流密度(85A/cm^2/well),高い特性温度(T_0>200K)を得た.また,高歪結晶の成長において,従来の臨界膜厚とは異なり,成長時の条件が臨界膜厚を決定する可能性を示し,成長遷移パラメーターによりその条件を記述すると,結晶品質との対応が良いことを示した. 実際に高歪量子井戸をMOCVD装置で行ない,成長速度を増加(3μm/h)し,成長温度520℃として成長を行うことで,発光ピーク波長1.225μmと長波にもかかわらず発光半値幅23mVと良好な結晶を実現した.さらに(311)B GaAs基板上への高歪GaInAs面発光レーザを成長し,波長1.15μmの面発光レーザを実現した. また,面発光レーザをアレー状光ファイバに結合する光モジュールの検討を行い,試作により大容量並列光伝送モジュールの簡易な構成の実現可能性を示した.
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