研究分担者 |
山内 清 株式会社トーキン, 基礎材料開発部, 開発部長(研究職)
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
山下 修蔵 川澄化学工業(株), カテーチル開発プロジェクト, 理事(研究職)
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研究概要 |
Cu基超弾性合金の電子および医療材料への展開を試みるため,Cu-Al-Mn系合金の溶体化後の焼き入れ速度と変態挙動の関係をフォーマスター装置にて調査し,また,超弾性を有する医療用ガイドワイヤーの手元部の高剛性化の検討およびCu-Al-Mn系超弾性箔の作製・評価を行った結果,次の知見を得た。 1.60%以上の高冷間加工性を有する低Al組成合金では,約100℃/sec.より遅い焼き入れ速度においてβ→β+α変態が生じる。また,その変態挙動は,β相結晶粒径に大きく依存し,結晶粒径の減少に伴い,変態が開始する焼き入れ速度が速くなる。 2.低Al組成を有するCu-Al-Mn系合金を300℃程度で低温時効することにより硬さが上昇する。低温時効による硬さの上昇は,ベイナイト変態に伴う微細なα相の析出およびβ相の規則度上昇に起因する。 上述の低温時効硬化を利用し,150℃〜300℃範囲の温度傾斜炉を用いることによって,先端部は超弾性,手元部は高剛性といった傾斜機能化が可能であり,その試作を行った。このような傾斜機能特性を有するガイドワイヤーは,血管内での突き出し性,トルクコントロール性等に非常に優れている。 3.低Al濃度のCu-Al-Mn系合金は,α+β2相組織にすることにより,80%以上の冷間圧延が可能であり,簡単に30μm程度の箔を作製できる。 30μm程度の箔においても,6%程度の回復可能歪み量を有し,板材と同様,その超弾性特性は,β相結晶粒径に大きく依存する。
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