研究概要 |
(1)2及び3元系金属間化合物皮膜の目標組成(テーラード組成)は、複合する縒り線金属組成;X_A、金属密度;ρ_A、縒り線径;D_A、縒り線の本数;N_A、金属の原子量;A_Aとし(Aは縒り線の金属種:A, B, C・・・)、とするテーラード組成調整式を導き出し、ストランドワイヤを設計した。 (2)テーラード組成調整式により、Ti-Ni、Ni-Al、及びNi-Al等の2元系、及び、Fe-Al-Ti系及びNi-Al-Ti等の3元系ストランドワイヤを設計・製作し、TiNi、NiAl、及びNiAl等比金属間化合物皮膜、Ni_3Al非等比金属間化合物皮膜、及び3元系皮膜をCO2レーザ溶射法及びYAGレーザ溶射法により作製した。作製した皮膜組成は、目標とするテーラード組成であった。 (3)金属間化合物皮膜のトライボ特性としての耐摩耗性は、大越式摩耗試験及びスガ式摩耗試験等により、TiNi、NiAlおよびNiAl系金属間化合物皮膜では、TiNiが最も良好であり、3元系では、Fe-Al-Ti系及びNi-Al-Ti系においても、前者がHV350からHV560に、後者がHV600からHV750にいずれもTiを添加することによりHV200〜HV150程度に上昇し、トライボ特性の改善が見られた。 (4)摩耗機構は、大越式摩耗試験及びスガ式摩耗試験から、グラインディング摩耗であるが、金属間化合物は、温度上昇が伴っても、単なる研削摩耗で、Al、軟鋼及びステンレス鋼より、良好であり、Al材は、温度上昇に伴い、掘り起こすプローティングが生じ、耐摩耗性が劣っていた。 (5)目標とするトライボ特性を有する最適金属間化合物組成皮膜は、テーラード組成調整式によるストランドワイヤの設計・製作及びレーザ種、レーザ照射条件等の選択により、作製可能であり、実機機械摺動部品への適用しうることを明らかにした。
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