研究分担者 |
吾郷 昌信 丸石製薬(株), 中央研究所, 主席
矢後 素子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30048475)
菅原 正和 岩手大学, 教育学部, 教授 (70111234)
瓜田 章二 福島県蚕業試験場, 養蚕部長
奥西 淳二 丸石製薬(株), 中央研究所, 研究員
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研究概要 |
カイコと天蚕の体液中から単離した抗カビ性物質をLC-MSで構造解析したところ,C_<17>H_<38>NO_2の化学構造組成を明らかにすることができた.データーベースで検索したところ,58個の分子式が候補として選び出されているが,最終的な構造決定はNMRによる分析が不可欠である.また,天蚕の雌附属腺から確認されたラット肝ガン細胞増殖抑制活性因子については,クロマトグラフィー的には完全に単離精製することができた.最終的な構造解析としては,LC-MSとNMRの分析が必要である.一方,ウスタビガの繭成分として単離精製されたものは,NMRによってケンフェロールとして同定された.これは食樹由来と考えられるが,昆虫の繭から同定された物としては初めての発見である. さらに,天蚕繭からのフィブロインタンパク質の粉末化に成功し,このフィブロイン粉末から逆相クロマトグラフィーにより,9.5kDaのタンパク質を単離精製することができた.またN末端から14残基までのアミノ酸を同定し,MALDI-TOF MSで6,089.06Daの分子質量を決定した.トリプシン処理によるペプチド断片の内部配列のアミノ酸残基の同定により,天蚕フィブロインタンパク質の断片化による低分子タンパク質であると結論できた.その上でこのタンパク質の機能性を解析したところ,リンゴ斑点落葉病カビに対して強い抗カビ活性を有していることを明らかにすることができた.
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