研究課題
基盤研究(A)
天蚕の雌附属腺からの酸メタノール抽出物からラット肝がん細胞の増殖抑制因子を発見し、その構造解析の結果、生物界で新規のカテコール酢酸2量体であることを決定した。これについては、現在引き続き合成法を確立中である。天蚕の休眠前幼虫から単離構造決定した新規のペンタペプチドには、ラット肝がん細胞の増殖抑制活性があり、この活性はアポトーシスや細胞殺傷によるものではなく、細胞周期のG0/G1期を増大するように作用することを明らかにした。天蚕の休眠前幼虫からイミダゾール系化合物KK-42に結合する45kDaのタンパク質を単離し、これが昆虫における人工孵化機構を分子レベル解析するための有力なタンパク質であることを初めて提案することができた。天蚕絹糸フィブロインを独特な製造法で粉末化することに成功発明化した結果、化粧水として企業が製造販売するまでに至った。昆虫の食道下体の存在は100年以上に渡って知られてきたが、その生理機能に関してはまったく不明のままで極めて珍しい器官のひとつであった。本研究ではカイコの食道下体に着目して、食道下体がリゾチームと組織特異的キモトリプシンインヒビター(SCI-SB)を生産し、生体防御機構に関連した器官であることを初めて明らかにすることができた。昆虫機能利用は昆虫関連生産物の活用まで広義的に範疇に入ることから、カイコの食餌植物であるクワの昆虫産業的役割についても解析した。その結果、クワ根から新規のフラボノイドのひとつを単離構造決定することに成功した。カイコおよび野蚕の資源昆虫としての機能利用には、将来限界が発生する可能性がある。そこで、未利用生物資源として最大の利用開発が期待されている昆虫を新しい視点で把握する必要性がでてきた。本研究では、この拡大する可能性に挑戦するために、わが国において伝統的に生活の中に組み込まれてきたスズムシの発音を現代科学的に解析することを試みた。特に、スズムシの発音がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に及ぼす影響を脳神経生理学的に分析した結果、水平眼球運動(EMDR)とスズムシの発音を併用したところ、ストレス減少効果が顕著であることを明らかにした。これはオーストリア心理学会誌においても独創的な研究成果として評価され、昆虫テクノロジー分野に改めて新しい提案を行った。
すべて 2004 2003 2002 2001 2000 1996
すべて 雑誌論文 (13件) 産業財産権 (2件)
Journal of Insect Biotechnology and Sericology 73
ページ: 7-13
ページ: 113-116
Journal of Insect Biotechnology and Sericology 72
ページ: 41-50
化学と生物 41
ページ: 471-477
Kagaku to Seibutu(in Japanese) 41
Journal of Insect Biotechnology and Sericology 71
ページ: 35-42
International Journal of Wild Silkmoth & Silk 7
ページ: 53-58
International Journal of Wild silkmoth & Silk 7
Psychologie in Osterreich 5
ページ: 434-441