研究概要 |
浜松ホトニクスにおいて、^<13>NO_<3^->,^<13>NH_<4^+>,^<11>C-メチオニン、^<11>C-IAA, H_2^<15>Oを、また、日本原子力研究所・高崎研究所において、^<52>Fe-ムギネ酸,^<52>Mn,^<62>Znを用いて、PETIS(positron emitting tracer imaging system)法で各種の元素成分の植物体内における吸収、移行、転流を動画として可視化した。また、それぞれの元素のイネ科植物の場合はD.C.(Discrimination center)への移行速度、茎葉部での移行速度を算出した。すべての元素において、植物体を欠乏処理したときには、元素吸収の要求力が高まり、根と葉の付け根(D.C.)への移行速度が数倍に増大した。 このことは、根の細胞膜における各元素に対する固有のトランスポーターの活性が欠乏処理によって増大していることを意味しており、遺伝子の転写レベルでの誘導機構が存在することを示唆している。現在、鉄(Fe)については、イネ科植物ではムギネ酸鉄トイランスポーター(YS1)がオオムギからクローニングされ、これが鉄欠乏で転写誘導されることが証明されている(Walker ert al.nature,2002)。われわれはイネから二価鉄イオントランスポーターをイネから複数個見出した。これらのうちのいくつかは、鉄欠乏特異的に根で誘導されることを見出している。亜鉛(Zn)やマンガン(Mn)のトランスポーターについては、検索中である。ダイズの茎の中を移行する水を観察すると驚くべきことに、水(H_2^<15>O)の移行には2種類、すなわち拡散とマスフローがあり、拡散速度は7.5cm/min,マスフローの速度は2cm/minであった。
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