研究課題/領域番号 |
12357005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内山 卓 京都大学, 医学研究科, 教授 (80151900)
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研究分担者 |
久保田 守 JT医薬総合研究所, 研究企画部, 次長
堀 利行 京都大学, 医学研究科, 講師 (70243102)
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キーワード | OX40 / gp34 / GVHD / GVL / 造血器腫瘍 / 樹状細胞 |
研究概要 |
造血幹細胞移植後のGVHDやGVLの主要部分はドナー由来のT細胞とレシピエント細胞とのアロ免疫反応と考えられる。本年度は、そこでのOX40/gp34系の役割を明らかにし、また、この系を制御するための可溶性蛋白やべ発現ベクターの準備を行なった。 1.造血幹細胞移植(HSCT)後患者を対象として、T細胞サブセット上のOX40の発現と臨床症状との関係について検討した。その結果、cGVHDを発症した症例では、末梢血のOX40^+CD4T細胞の割合が発症しなかった症例に比べて高値を示すことが判明した。また、cGVHD症例の中で、免疫抑制療法に反応した例では、OX40^+T細胞の速やかな減少が認められた。これらのことから、末梢血T細胞のOX40発現がcGVHDのよい指標になりうること、cGVHDの病態にOX40^+T細胞が関与することが示唆された(投稿準備中)。 2.末梢血単球よりGM-CSFとIL-4を用いて分化誘導し、単球培養上清によって成熟させたMDDCにgp34が発現することを確認した。このMDDCでアロ末梢血T細胞を刺激する混合培養系にOX40抗体または抗gp34抗体を添加して影響を検討したところ、これらの抗体によって容量依存的にCD4^+T細胞の増殖が著明に抑制された。CD8^+T細胞をアロMDDCで刺激すると、活性化した表面形質を示し、一過性にOX40とgp34を発現したが、増殖は誘導されなかった。そこにCD4^+T細胞を少量混在させると増殖が誘導され、それが抗OX40抗体または抗gp34抗体によって強く抑制されたことから、CD8^+T細胞の増殖にはCD4^+T細胞からのIL-2などのサイトカインの供給が必要であり、その産生にOX40/gp34系が重要な役割を果たすことが示唆された(投稿準備中)。 3.ヒトの可溶型OX40とgp34の発現ベクターを構築し、CHO細胞にトランスフェクトし、G418耐性を利用した選択と多数クローンのスクリーニングによってそれぞれの高産生株を樹立した。現在、それぞれの培養上清よりアフィニティーカラムを用いて可溶型OX40とgp34の精製を行なっている。一方、OX40とgp34のcDNAの発現ベクターについては、樹状細胞や白血病細胞など一次培養系での発現を目指して、レンチウイルスベクターに組み込む準備を進めている。
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