研究概要 |
主たる糖尿病遺伝子が膵島で発現していることは疑いない。申請者らは、単一遺伝子異常の2型糖尿病(MODY)の原因遺伝子(転写因子)解析によって、膵と発生原基が共通である小腸も疾患発症に協調して関与する事を見い出した。従って、両組織の共通遺伝子に特異的なSNPを集積して糖尿病発症との関連解析に供することは効果的である。初年度からのESTの収集作業を継続し、ヒト遺伝子収集は完了した(ラット、マウスもほぼ終了)。クラスタリング解析により、これらは6,806種類の重複しないESTで構成された。ヒトゲノムには30,000-40,000種類の遺伝子が存在すると推定されているので、本研究により、発現が比較的高い1/5-1/6の遺伝子は既に網羅されたと考えられる。クラスターを形成した群は 3,984種類であり、シングルESTは2,822個であった。これらのESTについてBLASTサーチを行い、既知と未知遺伝子に分類した結果、クラスターを形成したESTは大半が既知のタンパクをコードするものであった(90%)。一方、シングルの群は逆に大半が未知遺伝子であった(76%)。ESTコード蛋白を機能別に分類すると、遺伝子や蛋白発現に関連するものが最も多く認められた(14.5%)。同群をさらに亜分類すると、転写関連蛋白(132種類)が最も出現頻度が高かった。これらの転写因子群にはHNF転写因子および共役分子も多く含まれたので、新規の関連分子を獲得するのに有効なプールと判定された。これらのESTを用いて、現在、膵ラ氏島特異的なDNAマイクロアレイの作成とSNP探索を行っている。
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