研究課題/領域番号 |
12357011
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大工原 恭 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (40028733)
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研究分担者 |
町頭 三保 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (80253897)
柿元 協子 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (40274849)
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キーワード | 肝細胞増殖因子(HGF) / 細胞分散因子(SF) / 高感度ELISA / 歯肉溝滲出液 / 歯周疾患 / 診断法 / アルツハイマー病 / 脳血栓 |
研究概要 |
研究代表者らが2000年に開発した高感度HGF ELISA(測定感度、2pg/ml)を用いて、歯肉溝滲出液などのHGFを測定し、本年度は以下の結果を得た。 臨床的に健康な歯肉からの歯肉溝滲出液中HGF濃度平均値は、前年度の結果通り1.7ng/mlであった。健常者血清のHGF濃度平均値は、0.2ng/ml(N>1,000)であることから、この結果は、健康な歯肉中でもHGFが合成・分泌されていることを示すものである。また、この歯肉溝滲出液HGF濃度は歯周疾患で上昇(約2倍、P<0.001)するが、そのHGF濃度は歯周炎の程度(ポケットの深さ、歯糟骨の吸収、歯肉炎指数)と正の相関があること、歯周炎の治療(ブラッシング指導、歯石除去、歯根面の滑沢化)により低下することを明らかにした。これらの結果は、前年度に得られた結果(歯肉組織にHGF mRNAが発現していること、及びPro-HGFを活性化するHGF-activatorが歯肉上皮に存在すること)と併せて考えると、歯肉が歯周疾患時に生体防御反応の1つとして、HGFの産生を促進していること、また歯肉溝滲出液HGF濃度が歯周疾患の客観的な診断法になり得ることを示すものである。さらに、歯周疾患の治療にHGFを積極的に応用することも可能であることを示唆するものである。 この他、本年度は脳脊髄液中のHGF濃度が、種々の脳神経系疾患、特にアルツハイマー病で有意に上昇すること、また血清中のHGF濃度が、脳梗塞時の血栓形成の診断マーカーになり得ることを明らかにし、発表した。
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