DNAマイクロアレイを応用した多項目遺伝子情報に基づく口腔癌の個性診断法の開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12357012
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 天笠 光雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00014332)
• 研究分担者: 久野 敦司 藤沢薬品工業株式会社, 医療関連事業部・技術センター, 次長 ; 稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
• キーワード: 口腔癌 / ゲノム / DNA / 一次構造 / 癌関連遺伝子 / マイクロアレイ / CGH / FISH

研究概要

口腔外科領域の癌におけるゲノム変化を体系的・網羅的に検出し、異常の見出された領域から癌関連遺伝子を単離・同定するとともに、新規に作製するゲノムDNAマイクロアレイを用いてこれら異常の検出の効率化を図り、また異常の見られた領域や遺伝子と臨床病理学的データとの関連を体系的に解析することで、多項目遺伝情報に基づく口腔領域癌の個性診断法を確立することを目的として研究を推進し、以下の成果を得た。
1.口腔・咽頭・食道領域の癌の細胞株ならびに臨床検体の収集とDNA等の解析材料の抽出、およびこれらの臨床病理学的データの収集とデータベース化を継続して行っている。
2.これらの検体を用いたゲノムDNAコピー数異常の解析により見出された新規増幅領域から複数の既知あるいは未知の癌関連標的遺伝子を単離・同定した。これには、3q26増幅領域のSNO、EVI1、11q21-23増幅領域のcLAP1、14q12-21増幅領域のHNF3β、18p11.3増幅領域のHEC、TGIF、など多数の遺伝子が含まれ、一部に関しては機能解析を行い癌細胞の悪性形質獲得の機序を明らかにした。
3.基礎技術開発を進めてきたゲノムDNAマイクロアレイについては、試作レベルのアレイの作製を進め、実際の検体においてゲノムコピー数の変化を検出できることをCGH法、FISH法と比較して確認した。約200の癌関連遺伝子をスポットしたアレイにについては30種類の食道扁平上皮癌細胞株を気象対象に実際の解析を行い、homozygou seletionなどCGHでは検出不能であった異常の検出が可能であることを示すとともに、癌細胞のゲノム変化によるクラスタリングの可能性を明らかにしている。さらに現在、これらの結果をもとにゲノムワイドにスクリーニング可能な3000個以上のスポットからなるアレイ、あるいは約500の癌関連遺伝子をスポットしたアレイを作製している。

研究成果

• [文献書誌] Uzawa N, et al.: "Homozygous deletions on the short arm of chromosome 3 in human oral squamous cell carcinomas"Oral Oncology. 37. 351-356 (2001)
• [文献書誌] Imoto I, et al.: "Identification of cIAP1 as a candidate target gene within an amplicon at 11q22 in esonhageal squamopus cell carcinomas"Cancer Research. 61(18). 6629-6634 (2001)
• [文献書誌] Yasui K, et al.: "Identification of target genes within an amplicon at 14q12-q13 in esophageal squamous cell carcinomas"Genes Chromosome Cancer. 32(2). 112-118 (2001)
• [文献書誌] Imoto I, et al.: "SNO is a probable target for gene amplification at 3q26 in squamous cell carcinomas of the esophagus"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 286(3). 559-565 (2001)
• [文献書誌] Yang Z-Q, et al.: "A novel amplification harboring NFIB proximal to GASC1 at 9p23-24 In squamous cell carcinoma of the esophagus"J Cancer Res. 92(4). 423-428 (2001)
• [文献書誌] Shwe M, et al.: "p53 and MDM2 co-expression in tobacco and betel chewing-associated oral squamous cell carcinomas"J Med. Dent. Science. 48. 113-119 (2001)