研究課題/領域番号 |
12357013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 敏比古 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10037541)
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研究分担者 |
岡野 香 九州大学, 農学研究院, 助教授 (40038328)
嶋崎 義浩 九州大学, 歯学研究院, 助手 (10291519)
於保 孝彦 九州大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50160940)
中野 豊 九州大学, 農学研究院, 助手 (20243925)
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キーワード | ラ蝕 / 牛乳 / ラ細菌 / 定着因子 |
研究概要 |
齲蝕原性細菌として知られているStreptococcus mutansの歯面への初期付着には、分子量19万の菌体表層タンパク質抗原(PAc)が関与し、ついでS.mutansの歯面上における蓄積には同菌が産生するグルコシルトランスフェラーゼ(GTF-I)によるスクロースからの非水溶性グルカンの合成が必要であることを我々はこれまでに明らかにした。本年度は、牛乳抗体を用いた新しい齲蝕予防法の開発を目指すため、PAcの唾液結合機能領域と非水溶性グルカン合成酵素GTF-Iのグルカン結合領域に対応する遺伝子断片を連結した後、この遺伝子をpTrc99Aプラスミドに挿入し、同プラスミドで大腸菌XL1-blue株を形質転換して、PAcとGTF-Iの機能領域からなる融合タンパク質を発現させた。その後、Ni-NTAゲルを用いてこれらの融合タンパク質を約100mg精製した。同融合タンパク質を抗原としてホルスタイン牛を免疫し、出産直後より乳を採取し、乳中に含まれる抗融合タンパク質抗体のPAcおよびGTF-Iに対する抗体価をELISA法で測定した。抗融合タンパク質抗体の抗体価は、出産直後の初乳に非常に高い価が認められたが、その後、徐々に減少し、約20-30日後には最大値の1/1000前後の価まで低下した。出産後47日目にリンパ節へ追加免疫を行ったところ、常乳中の抗体価は再び上昇し、55日目には最大値に達し、以後約3ヶ月にわたり高い抗体価が維持された。さらに、処理温度が抗体価に及ぼす影響を調べたところ、65℃で30分間の処理では抗体価に影響が無く、本免疫牛乳の殺菌には65℃で30分間の低温処理が適切であることが明らかになった。
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