研究課題/領域番号 |
12357013
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶋崎 義浩 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (10291519)
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研究分担者 |
中野 豊 九州大学, 農学部附属農場, 助手 (20243925)
岡野 香 九州大学, 農学部附属農場, 助教授 (40038328)
於保 孝彦 九州大学病院, 講師 (50160940)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | う蝕 / 牛乳 / う蝕細菌 / 定着因子 |
研究概要 |
う蝕は世界中で最も蔓延している感染症の一つである。我々は、う蝕細菌として最も重要視されているStreptococcus mutansの定着因子であるPAcとGTF-Iの機能領域融合タンパク質を抗原としてホルスタイン牛を免疫し、得られた抗体牛乳を用いて受動免疫実験を行った。S. mutansを口腔内に一定以上持つ者に対して、1日2回、抗体牛乳10mlで1分間洗口を行った。洗口期間中、洗口後の口腔内のS. mutansレベルは、抗体牛乳洗口グループでは、コントロール牛乳洗口グループに比べて、唾液、歯垢中のS. mutans数、総連鎖球菌数中のS. mutans数の割合が有意に抑制されていた。 抗体牛乳がう蝕抑制効果を調べるために、ラットを用いた実験を行った。抗体牛乳投与群、非免疫牛乳投与群、蒸留水投与群の各群に実験開始から5日間、S. mutansを口腔内に接種した。抗体牛乳、非免疫牛乳、蒸留水を各群のラット口腔内に1日1回連続投与した。実験開始から55日目に、ラットの歯別のう蝕発生数を比較したところ、抗体牛乳投与群のう蝕発生が最も少なく、蒸留水投与群との間に有意な差が認められた。一方、非免疫牛乳群と蒸留水投与群のう蝕発生数には有意な差は認められなかったことより、抗体牛乳のう蝕発生抑制効果が期待できることが確認された。 牛乳中に唾液によるS. mutansの凝集を抑制する成分が確認され、それがウシラクトフェリンであることが明らかになった。また、ウシラクトフェリンのS. mutansの凝集を抑制する機能領域はアミノ酸残基番号473-538に存在することが示唆された。また、ウシラクトフェリンは唾液によるS. mutansの凝集を抑制するだけではなく唾液で被覆したハイドロキシアパタイトへのS. mutansの付着も抑制し、機能領域も同じ場所に存在することが示唆された。 以上の結果から、抗体牛乳を用いた受動免疫法はウシラクトフェリンと併用することで、より効果的なS. mutansの抑制が可能になりう蝕予防に有用である可能性が示唆された。
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