研究課題/領域番号 |
12357017
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
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研究分担者 |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
武谷 浩之 三重大学, 医学部, 講師 (60222105)
井戸 正流 三重大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90167263)
仲 大地 三菱化学(株), 横浜総合研究所, 研究職
鎌田 春彦 三重大学, 医学部, 助手 (00324509)
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キーワード | 臓器再生 / 再生分子マーカー / 治療・診断法 / 肝細胞増殖因子 / 肝細胞増殖因子活性化因子 / 活性化プロテインC / プロテインCインヒビター / ELISA |
研究概要 |
臓器移植、臓器再生等の再生医療では、治療の有効性を的確に評価する必要があり、鋭敏で特異的な再生分子マーカーの探索と新しい高感度測定法の開発が要望されている。本研究では、再生分子マーカーの高感度測定法を確立するため、プロテインチップ-ELISA等の測定法の開発とその実用化を目指した動物実験ならびに臓器移植患者の血液検体を用いた基礎的研究を行うものである。昨年度は、肝再生に特異的な分子マーカーの探索とその測定系の開発を目的に、肝の再生時に生成される活性型肝増殖因子活性化因子(HGFA)と活性型HGF、及びHGFAとプロテインCインヒビター(PCI)の複合体(HGFA-PCI複合体)の測定法の開発を行い、HGFAに対する特異的抗体及びそれを用いたELISAを開発した。この成果に基づき、本年度は動物実験を用いた再生分子マーカー、特に肝再生時におけるHGFA等のプロテアーゼの発現動態に関する検討を行った。 肝再生モデルとしてHiggins & Andersonの方法に従い肝を切除した肝再生マウスを用い、経時的に回収した再生肝中に発現する遺伝子の発現動態をNorthern Blot法で解析した。その結果、肝切除後6〜8時間後に血漿中の主要プロテアーゼであるプロトロンビンmRNAの発現が切除前の2〜4倍に上昇していた。また、抗凝固因子の一つプロテインCの発現もほぼ平行して上昇していたことから、肝再生には、血液凝固制御系を含めた種々の生体防御系のプロテアーゼの関与が示唆された。この成果に基づき、今後は凝固因子・凝固制御因子をはじめ、肝再生に重要な働きを持つと考えられるHGFA等のプロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターについて、Northern Blot法やDNAチップを用いた種々の遺伝子発現の網羅的な解析を行う。さらに、ヒト肝切除手術患者由来の血漿検体を用い、肝再生時のHGFA、HGFA-PCI複合体等の血漿濃度の推移を測定し、その病態生理的意義を明らかにし、そうした一連の基礎的研究成果に基づき肝再生に特異的な分子マーカーの高感度測定法の確立を目指す。
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