研究課題
本研究の目的は、災害後の医療・看護ケア提供に必要な情報を蓄積し、かつ稼動可能な看護支援提供システムを構築することである。この目的のもとに、以下4点の目標を設定した。(1)災害後の短期的、中期的および長期的な医療・看護ケア提供に必要なデータを蓄積する。(2)すでに構築しつつある災害看護ネットワークを稼働可能なものとする。(3)看護学における災害看護教育/防災訓練モデルを構築し、基礎教育および卒後教育に普及する。(4)災害看護学の理論と方法論の検証を行う。このうち、平成12年度においては、目標(1)(2)の達成のために、ネットワーク活動班、人材育成班、組織調査班、文献整理班を組織し、研究に取り組んだ。その結果、ネットワーク活動は初期調査75件、初動調査5件実施し、初動調査対象の規模の検討やアセスメントツールの精錬に入っている。同時にネットワーク構築にあたりニーズが高いと考えられる全国521カ所の基幹・地域災害医療センター看護部に対し現状把握のための質問紙を送付し、県単位の取り組みについても聞き取り調査を実施している。また人材育成に関しては、「人材開発研修会・導入編」を実施し、計20名が参加し、ネットワークに有効な研修内容であった。そして、近年の災害看護の文献の動向をまとめ、データを蓄積するシステムの構築と共に災害時に活用できるパッケージの作成のために、報告書4件、公的文書63件、和文献113件、洋文献54件、著書149件を検討した。現在キーワードを集め、シソーラスを作成中である。平成13年度は、ネットワーク活動に関する事項として、アセスメントツールの精錬及びネットワーク構築に向けて人材育成も意図した関係者・組織の情報交換の場の設定、また災害看護関係文献の体系化と必要時の情報提供システムの検討をすることを課題としている。そして、目標(3)(4)の達成のためには、災害看護教育検討班を設ける予定である。