研究課題/領域番号 |
12358005
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005975)
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研究分担者 |
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
唐 政 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80271972)
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10302209)
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キーワード | 陽電子消滅 / 原子炉圧力容器鋼 / 非破壊検査 / 角相関 / 照射脆化 |
研究概要 |
広領域の(電子)運動量分布を測る方法として現在コインシデンス・ドップラー広がり法(CDB)が用いられている。この方法は、陽電子がいる位置での元素の同定(内殻電子状態は元素固有)を可能とするという優れた特徴をもつ。しかし、運動量分解能は4×10^<-3>mc程度と悪く、幅の狭い分布をもつ価電子の運動量分布を精度よく測定することは不可能であるという欠点をもつ。 この点を解決するため本年度は、高い運動量分解能かつ低バックグラウンドの測定を可能にする1次元角相関(ACAR)装置用の位置敏感γ線検出器の開発を行った。検出器は、時間分解能がよく(1ns程度以下)、検出効率が高く、位置分解能もよい(2mm程度以下)必要がある。薄いBaF_2シンチレータ(150mm×15mm×1.5mm)80枚を2mmピッチで並べ、位置敏感光電子増倍管(PS-PMT)に取り付けた検出器で、目的の性能を得ることに成功した。位置情報は、シンチレータの15mm×1.5mmの面に浜松ホトニクス製の1次元PS-PMT(R5900-00-L16)を10個取り付け、抵抗鎖で出力分割することにより得る。各シンチレータ間の分離は良好であることが確認できた。時間情報は、15mm×150mmの面に石英ガラスのライトガイドを介して、位置情報とは別のPMT(H3177)を4個取り付けることにより得る。時間分解能は約1.2ns(FWHM)であった。 本検出器を用いることにより、狭い運動量分布の価電子から、内殻電子までの広運動量領域の測定が可能な1次元ACAR装置が可能になった。今後、本検出器をもう一台製作し、ACAR装置を組み上げる予定である。
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