研究分担者 |
仲岡 雅裕 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90260520)
平 朝彦 海洋科学技術センター, 深海地球ドリリング計画推進本部, 部長(研究職) (50112272)
杉本 隆成 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40004428)
立川 賢一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20013584)
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研究概要 |
正確な船位情報を取得しながらマルチビームソナーを用い,海底の形状と底質の分布,海藻などの生物の分布を測定し,リアルタイムに海底地形を表示しながら,正確な沿岸域の海底のマッピングができる,小型で持ち運びできる海底表層の生物・環境3次元マッピングシステムを開発することを目的に研究を行なった.音響測深機や魚群探知機のように1本のビームによる底深測定では観測線の間隔が広く,観測線の間を補間しなければならない.本研究により開発したシステムは,隙間がなく,補間を必要としない海底表層の3次元的な形状を測量するとともに海底の性質を判別し,海草藻類などのバイオマスをリモートセンシングで測定することが可能である.高性能の衛星測位システム,ジャイロコンパス,動揺センサーにより海底の位置を正確に測量できる.取得されたデータを地理情報システム(GIS)を用いて処理し,海底地形と海底の性質をマッピングする手法も開発した.現場研究は,三陸大槌湾周辺,三浦半島の油壺地先,チュニジア南部ザルジス東方70kmの海台で行なった.大槌湾周辺での調査では,海草藻場を対象として行い,Sea truthとして海草の生態と分布量についても調査した.さらにマッピングソフトウエアの開発に先立って,GISの水産資源分野および海洋学分野への応用に関する研究としてナホトカ号重油汚染による潮間帯生態系の変化や沿岸域保全や管理を対象とした研究も行なった.従来,環境計測に用いられる沿岸域の海底の底質分布や底生生物のバイオマスの測定技術は,現在,古典的なマンパワーにたよるライントランセクト法や観測点における採泥サンプリングなどの非効率的な測定方法しかなかった.開発したシステムは,1-100mの微小スケールの変化に富んだ沿岸生態系をもつ海底環境を詳細に把握できることが確認され,科学的面のみならず沿岸域管理という実際的な社会的面においても貢献できるものと確信する.
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