研究概要 |
本研究は,脳のニューロン群活動を単一ニューロンレベルでしかもミリ秒オーダーの時間分解能で計測するシステムを,共焦点レーザスキャンを用いて開発することを目的とする.本年度は,基本システムの設計と製作を行った.共焦点レーザスキャン装置(横河電機CSU10)をステージ固定式顕微鏡(オリンパスBX50WI-FV300)上に設置した.スキャナーシステムには,励起光としてArレーザとHeNeレーザを用い,それぞれに対応した検出器を組み入れた.現時点では,512×512画素のイメージを260ミリ秒ごとに取り込む高速スキャンに成功した.画素数を制限すれば100ミリ秒ごとに取り込むことも可能である.来年度,高速ビデオカメラシステムを導入すれば,これより10倍以上の速い取り込みも可能となる.また,光学的に計測したニューロン活動をパッチ電極により同時に電気記録するために,顕微鏡には透過光システムを搭載した.脳内の任意の場所から記録を行うために,動物標本と刺激電極・記録電極の位置を維持したまま,顕微鏡とスキャナーシステム全体を可動ステージの上に載せマニピューレーターで簡単に動かせるようにした(成茂科学特製).生きているゼブラフィッシュ稚魚の後脳網様体脊髄路(RS)ニューロン群をカルシウムイオンの蛍光指示薬であるCalcium Green Dextranで逆行性にラベルし,製作したシステムを用いてin vivoイメージングした.最大のRSニューロンであるマウスナー細胞の軸索を刺激したときの逆行性活動電位に対応する蛍光変化をとらえることに成功した.
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