研究分担者 |
佐藤 英俊 東北大学, 理化学研究所・計測工学研究室, 研究員 (10300873)
田代 英夫 東北大学, 理化学研究所・計測工学研究室, 主任研究員 (90124370)
朝倉 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20272023)
會沢 勝夫 東京医科大学, 第二生理学, 教授 (40074645)
今谷 晃 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30333876)
|
研究概要 |
光線力学的診断並びに治療の基礎検討 Mono-L-aspartyl-chlorine 6 (Npe6)の腫瘍親和性を検討し臨床応用の実現性を推測した。自然発症腸腫瘍マウスであるAPC遺伝子ノックアウトマウスにNpe6 3,5,10mg/kgを尾静脈より静注し1,2,4,6,12,24時間後に開腹し各腫瘍への取込みを蛍光画像観測装置により記録、腫瘍の蛍光を画像解析した。2〜6時間後正常粘膜部より有意に取込みが亢進していた。またNpe6,10mg/kg静注2時間後、凍結切片を作成し蛍光顕微鏡写真を撮影した。正常腸管に比べ腫瘍部には明らかなNpe6の橙色蛍光が観察された。特に腫瘍表面に多い傾向が観察された。次に治療への応用について検討した。Npe6,5mg/kgを尾静脈より静注した後、6時間後マウスを開腹し回腸末端部を露出、漿膜側から664nmのダイオードレーザーを50J照射した。照射後1〜7日後照射部を取り出し固定標本を作成したところ、腫瘍部に壊死効果を認めた。この漿膜側からの操作で正常腸管部にも粘膜の脱落などが見られたが実際の臨床応用を考慮した場合腫瘍部への限定的照射が可能であり正常粘膜への作用は限定的であると推測される。 マウス腸管腫瘍組織のラマン分析 脂質とヘモグロビン分析用に試作した720nm励起専用マイクロラマンプローブと、通常のマクロ試料室を用いた800nm励起での測定を行った。マイクロラマンプローブでの測定では、試料の蛍光が強く、ガンと正常組織でのスペクトル変化は見られなかった。720nmの励起光は脂肪以外の組織観察には適当でないことが示唆された。800nm励起での測定では、ガン組織に非常に特殊な蛍光バンドが観測されることが示唆された。蛍光バンドを発している生体分子は腫瘍中で径10μm程度の微小領域に局在しており、分子種は特定されていない。800nm近傍数10ナノメートルの励起光だけで蛍光を発し、ラマンバンドの数倍程度の、通常の蛍光バンドに比較して非常に狭いバンド幅を持つ。蛍光強度は正常組織のラマン光強度の100倍程度である。このバンドが腫瘍特異的なものかどうかを今後明らかにする必要がある。
|