研究概要 |
エアロロボットの開発とその自律移動制御系に関する研究を行い,安全・防災活動への応用あるいは産業用として高度な運用が可能となる自律型エアロロボットの完成を目的としている.研究代表者らによる従来の研究成果により得られた簡単な自律飛行制御系を構築した自律型エアロロボットにより,2000年春の北海道有珠山において活動中の火口付近の観測が行われた.これは自律型エアロロボットが安全・防災活動に対する有効性を示した重要な成果と考えられる.研究実施初年度である本年度は自律制御の高度化を目的として,エアロロボットのハードウェアの検討ならびに開発を行うとともに,自律飛行制御の構築法に関する研究を進めた.自律飛行制御系に関しては,エアロロボットの飛行を安価なPCを用いてシミュレーションすることができるフライトシミュレータを構築し,これを用いて検討を行った.その結果,高性能な自律飛行制御を構築する方法として,インテリジェントシステムのひとつであるニューラルネットワークの学習を用いる方法を提案した.提案手法によると,風などの不確かさに対して頑強な制御系を構築することが可能であるだけでなく,エアロロボットのもつ非線形性を動的に打ち消す制御系を構築することが可能となった.さらに室内実験によって,オンライン学習により外界の変化に適応する制御系の有効性も明らかにした. また,自律型エアロロボットは高度な信頼性を持たねばならない.このために産業用無人ヘリコプタの開発者と討論を行い,過去の事故例などから信頼性の高い運用法に関する研究を行った.このような検討の結果,人が理解しやすい操縦インタフェースに関する研究の必要性が判明した.そこで音声認識システムによるボイスコマンドシステムを構築し,フライトシミュレータを用いた実験によりその実用可能性を明らかにするとともに,従来の操縦インタフェースの問題点を明らかにした.
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