研究概要 |
エアロロボットの開発とその自律飛行制御系に関する研究を行い,安全・防災活動への応用あるいは産業用として高度な運用が可能となる自律型エアロロボットの開発を目的としている. 研究実施3年目にあたる平成14年度は前年度までに得られた研究結果を基にして,自律型エアロロボットの安全・防災活動への応用法について深く検討を行った.対地高度を測定するためにステレオ視カメラ装置の利用を検討し,対地高度に限らず地面の傾斜や起伏が検出法を提案した.これにより,自動着陸に必要な対地高度だけでなく,十分安全な地点を選んで着陸することが可能となった.これまでは自動着陸は十分安全と判断される場合あるいは地上局との無線通信リンク切断時などの緊急時しか用いることはできなかったが,提案手法により安全な着陸を可能とすることができるため自律型エアロロボットの信頼性の向上だけでなく,センサの設置・回収などにエアロロボットの利用することが可能となる.また,地形の3次元情報は災害発生時だけでなく平時であっても有用な情報であることから,GPS-INS複合航法システムと自律飛行制御を併用することにより3次元地形情報自動収集システムの開発を行った.飛行実験の結果から,構築したシステムにより詳細な3次元地形情報の収集が可能であることを確認した.また,収集した地形情報を基に地形3次元モデルを構築するソフトの開発を行った.さらに,エアロロボットの応用が最も期待される活動は情報収集であることから,収集した情報をオペレータに効率よく提示するインタフェースに関する研究を行った.ナビゲーション用だけでなく災害観測用としても用いることができる動画像収集システムを構築し,その画像の有効な提示方法に関する検討を行った.またエアロロボットの遠隔操縦シミュレーション実験や飛行実験から,自律飛行制御系を利用してもカメラ制御とエアロロボットの操縦を同時に行うことは一人のオペレータにとっては困難であり,効率よく観測を行うことは困難となることが判明した.しかし,これまで研究を行ってきたボイスコマンドシステムを用いることによりカメラ制御を行いながらエアロロボットの操縦を行うことが可能であり,観測活動を効率よく行うことができることを明らかにした.また,ヘッドマウントディスプレーを利用し,災害発生時にエアロロボットが収集する情報を活用する方法に関する検討を行った.さらに,防災活動や安全活動にはオペレータとエアロロボットが協調的に役割を果たすことが重要であることを示し,そのために必要となるヒューマンインタフェースに関する検討を行った.
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