研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は数十~数百ナノグラム(10^<-9>g)程度の有機分子レベル安定水素同位体比の測定方法を開発し、地球環境科学における様々な試料に含まれる超微量バイオマーカーに適用し、有機化合物の地球化学サイクルや古環境解析研究に応用することである。最終的に同位体比測定のための誘導体化による同位体比補正法や感度・精度などの問題点、さらに自然環境試料の複雑な混合化合物の前処理ににおける分離法も解決し、約10ナノグラム程度の水素を持った有機分子の水素同位体比測定が恒常的に行えるようになった。地球環境試料として陸上高等植物、淡水・海水中藻類、湖堆積物、河川-外洋にいたる堆積物中などのn-アルカン、脂肪酸、アルコール、ステロールや、地球外試料である隕石中の多環芳香族炭化水素(PAHs)の水素同位体比を精力的に測定した。その結果、同じ植物が作り出す脂質分子でも数百パーミルの幅があること、従来炭素同位体比のみからC3植物とC4植物の混合で説明されてきた堆積物中の有機分子についてそれら以外の寄与もあること、海洋堆積物中へのバクテリア活動の寄与、氷期から間氷期にかけて長鎖n-アルカンの水素同位体比が30~40パーミル重くなることなど様々な新しい知見を得た。また、隕石中PAHsの中で互いに構造異性体であるピレンとフルオランテンの水素同位体比が異なることを見い出した。また、熱水中においてピレンとフルオランテンの水素の同位体交換反応が異なって起こることも明らかにした。これらの結果を学術誌に論文を数編発表し、さらに投稿中のものが4編ある。本研究の当初の計画における研究期間は4年であったが、発展的に新たな基盤研究(A)課題「有機分子の宇宙・地球環境における多次元同位体のシステマティクス」に採択されたことにより3年間で終了した。
すべて 2003 2002 その他
すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (1件)
Palaeogeogr. Palaeoclimat. Palaeoecol. 191
ページ: 1-14
Geochemical Journal 37
ページ: 493-502
Res.Org.Geochem. 18
ページ: 29-35
Geochem.J. 37
Environ, Science and Technology 36
ページ: 3270-3274
Organic Geochemistry 33
ページ: 843-848
Radioisotopes 51
ページ: 249-250
Environ.Sci.Tech. 36
Org.Geochem. 33
Radioisotopes. 51