本年度は、台湾の被災地で行う農村及び都市の復興計画策定等の具体的な復興支援へ向けての基礎作業と復興実態の把握を行った。また、被災地で復興に携わる研究者・行政の担当者・地元住民との意見交換を通し、両国間の人のネットワークの構築を行った。その概要は以下の通り。 2000年7月、6年前に集落調査を行った東勢鎮大茅埔・下城里の調査、及び中寮小学校再建調査を行い、現地の状況に応じた復興支援体制プログラムを構築した。 9月、公共施設復興モデル南投縣縣庁再建現場及び、農村復興モデル福亀村で意見交換、下城里・大茅埔の復興調査を行う。また、台湾大学での"International Workshop on Annual Commemoration of Chi-Chi Earthquake"へ日本で復興研究を行う大学院生4人を派遣。 10月、逢甲大学での都市計画学会で、農村鹿谷郷の復興計画発表会に参加、意見交換を行い、現地実態調査も行う。また、市街地復興モデル東勢一番街復興計画の担当者や住民との意見交換、下城里・大茅埔の調査等を行った。 日本建築学会に台湾大学陳亮全教授を迎え復興まちづくり国際共同研究会を開催。 2001年1月、台湾文化庁長官をはじめ楽山基金会の一行を神戸の被災地に迎えた。 2月、台湾大学黄世孟教授以下大学院生4人を神戸に迎え、定点調査及び、復興事例に関する議論を行った。また、台中を訪れ、台中東海大学建築系の教員や卒業生による東海建築工作隊の活動を中心に調査、学校建築再建、農村復興、原住民集落復興、集合住宅再建の問題等、活発な意見交換を行った。 6年間定点調査を継続している神戸の被災地では、場所による復興の差が顕著に現れている。台湾の被災地でも同じく復興は様々な要因が絡み、場所による違いを示している。復興は場所に即した精緻な計画が必要であり、両国の復興状況の比較を通した連携が重要な役割を持つ。
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