研究課題/領域番号 |
12374002
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所 |
研究代表者 |
川野邊 渉 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 室長 (00169749)
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研究分担者 |
中野 照男 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部, 部長 (20124191)
斎藤 英俊 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (30271589)
渡邊 明義 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 所長 (00249913)
藤巻 晴行 筑波大学, 農工学系, 講師 (90323253)
石崎 武志 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・物理研究室, 室長 (80212877)
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キーワード | 絵画 / 中国 / 環境測定 / 修復 / 顔料 / 寺院壁画 / 古墳壁画 |
研究概要 |
環境班は、8月から9月にかけて中国の壁画調査を行った。8月は、調査対象の智化寺内に設置した気象観測装置から温湿度、風向、風速、降水量、日射等のデータ回収をした。また、携帯型蛍光X線装置による智化寺壁画顔料の化学分析を、壁画全面にわたって詳細に行った。9月には、山西省の太原より北の、崇福寺(朔州)、仏宮寺(応県)、華厳寺(大同)、善化寺(大同)、岩山寺(繁寺)、仏光寺(五台)の壁画調査を行い、壁画の構造と壁画の劣化状況の関係について調べた。 美術史班(絵画班)は、智化寺の壁画及び建築彩色について関連作品や史料について捜索するとともに、智化寺関係者と壁画の図像や来歴について協議し、壁画の彩色材料や技法を解明するための新たな光学的手法を提案した。最終年度の報告書作成に向けて、両者の情報を交換することによって、双方の関心の所在を改めて確認することができ、有益であった。 修復班は、「智化殿壁画」損傷地図の基本となる写真撮影および撮影データのデジタル化を行なった。写真撮影は平成14年7月、日本側ス・タッフが現地に赴き行なった。撮影機材には4×5カメラ、銀塩フィルムを用いた。撮影スペースが確保できない、前部フェンス・木像など障害物が撤去できないなどの問題があったが、当初予定していた壁画全体撮影に加え6分割で撮影を行なうこと、木像で隠れた部分について補完撮影を行なうことで無事撮影は終了した。撮影終了後、日本で現像及びデジタル化を行ない、全体画像:1枚、壁画6分割画像:1式および補完データ(木像により隠れた部分を撮影したもの)からなるPhotoCDを作成した。 壁画の伝来の調査では、智化寺文博館閻玉良主任の協力を得て、同市内崇文区西斜街所在の臥仏寺、同市宣武区所在の法源寺の調査を行い、北京市公文書館、北京市政施工公司に所在すると思われる資料については、外国人に公開されていないため、閻主任が確認作業をしている。公文書類の閲覧には外国人の参加は限界があり、さらに中国側研究者との連携を強め、効果的な調査を実施することが必要である。
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