研究概要 |
魚竜は,超大陸パンゲアの周りに広がる超大洋パンサラッサ海で,三畳紀前期末に最初の種が登場し,多様化,大型化し,海洋生態系の中心的存在になる.本研究は,カナディアンロッキー山中の三畳紀前期,中期,後期の新しい魚竜産地の現地調査,共産化石の研究,同位体測定などにより,魚竜の適応放散とその背景となった生態系,環境,地質学的側面を総合的に解析しようとするものである.平成12年6月〜9月,カナダ・ブリティッシュコロンビア州北東部に分布するパードネ層(三畳紀後期)で,平成10年度より発掘中の大型魚竜化石の発掘を行い,脊椎,前肢の発掘を完了した.発掘標本は順次カナダのロイヤルティレル博物館で剖出が進められており,これまでに頭骨の背側面と上腕骨などの剖出が完了した.本標本はこれまでのところ頭骨の長さ5.5メートル,全長23メートルと復元された.平成13年2月,協力者のE.Nicholls(加・ロイヤルティレル博物館)とX.Wu(加・国立自然博物館)が,中国武漢科学工学院,重慶自然史博物館を訪問し,中国の比較標本を研究した.同年2月,真鍋,藪本,S.Evans(英・ロンドン大学)が,オーストラリア・ヴィクトリア博物館などを訪問し,同館に所蔵されるサウジアラビア・ジルヒ層(三畳紀中期)の脊椎動物化石の新標本などを比較研究した.
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