研究概要 |
魚竜進化の初期,三畳紀における適応放散と,その背景となった生態系、環境的側面を総合的に解析するため、カナデイアンロッキー山中の三畳紀前期、中期、後期の魚竜産地の現地調査を行った。三畳紀後期の地層で平成10年度より継続してきた、推定全長23メートルの魚竜の発掘を完了した。平成12年度に発掘した頭骨はこれまでに8割方の剖出を完了した。当初は、三畳紀後期のネバダ州から報告されている推定全長17メートルのショニサウルスの系統であることが予想されたが、後頭部や顎の形態から、別の系統に属する可能性が明らかになりつつある。そうであれば、三畳紀後期には、複数の系統で独立して大型化が起こり、いずれの系統でもジュラ紀までに大型種が絶滅したことになる.また、三畳紀とジュラ紀の魚竜は、頭骨や四肢に著しい差異が認められていたが、本研究により、三畳紀からもジュラ紀型の形態を持つ種が確認され、三畳紀とジュラ紀の生態系の転換が、これまで考えられていたよりも漸移的であった可能性を指摘することが出来た.三畳紀前期・中期の未調査地域の踏査を行い,2地点の有望な産地を確認した.また,Pardonet層の別地点で,本標本と同等の大きさと推定される大型魚竜標本を確認し,大型魚竜の個体数が多かったことが示唆された.
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