研究分担者 |
渡部 英昭 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10167190)
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
布山 喜章 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20087133)
高森 久樹 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40188090)
片倉 晴雄 北海道大学, 理学研究科, 教授 (40113542)
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研究概要 |
これまでに蓄積されたの研究と,昨年度,一昨年度の本課題における採集調査結果から,東アジア地域の中でも中国南部は最もショウジョウバエの多様性に富む地域であり,ここから多くのショウジョウバエの進化系統が放散していったことが確信された.最終年度である平成13年度は,これまでにも調査が行われ,ショウジョウバエ相に関して特に重要な情報が得られている中国南部(雲南省,広東省)を中心にさらに詳細な採集調査および分類・系統学的研究を行った(合計6回の中国派遣)得られた標本は,現地協力機関である昆名動物研究所(昆名市),華南農業大学(広州市)で分類同定作業を行うとともに,一部は飼育系統として確立し,細胞遺伝学的研究,交配実験,分子系統解析に供した.分担者が長期の滞在が出来ないため,交配実験など持続性を要する研究には困難が伴った.しかし,上記両機関には,日本側研究者が不在の期間も,系統飼育,基礎的データの収集に積極的に協力していただいた.また,従来は困難であった採集標本やDNAの日本への借り出しについて関係各機関へ働きかけ,許可を得ていただいた. 3年間の採集調査で得られた標本は膨大な数にのぼった.現在それらを中国,日本で解析中であるが,1983年から10年間北川修(都立大名誉教授)によって行われた海外学術での既知種数440は,480種に増加した.さらに,疑問種,新種はそれに倍する890種に達するものと予想している.本研究での新種記載,進化学的研究はそれらのごく一部について行われたにすぎないが、興味ある知見が得られつつある。特に,Drosophila属のobscura種群、virlis種群、Steganinae亜科では、20種を超える新種が含まれるが,これらの記載と系統解析,細胞遺伝学的研究は、東アジア地域のショウジョウバエ相の歴史を探る上での貴重な研究対象になるものと期待される。
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