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2001 年度 実績報告書

野生チンパンジーの行動の地域変異と文化的行動の獲得過程

研究課題

研究課題/領域番号 12375003
研究機関京都大学

研究代表者

西田 利貞  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011647)

研究分担者 中村 美知夫  日本モンキーセンター, リサーチ・フェロー (30322647)
川中 健二  岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70020790)
キーワードチンパンジー / 文化的行動 / 社会的学習 / 求愛誇示 / 道具使用 / 遊び / 威嚇誇示 / 教育
研究概要

第一に、タンザニアのマハレのチンパンジーの行動パターンを他の地域と比較するため、ウガンダのキバレ森林(ンゴゴ地域)とブドンゴ森林を選んだ。至近距離で観察できる場合は、行動をすべてビデオ・カメラで撮影した。その結果、(1)Social scratchとGrooming-hand-claspは、ンゴゴで見られるがブドンゴにはないこと、(2)しかし、Social scratchのやり方がマハレとンゴゴでは異なること、(3)Leaf-groomingは、ンゴゴでもブドンゴでも見られること、(4)しかし、ブドンゴでは明らかにどこよりも頻度が高いこと、(5)ンゴゴのチンパンジーでは、毛づくろいのさいに、マハレで知られるLip SmackやTeeth Chatterが聞かれず、そのかわりに、舌で歯と歯の間に空気を押しこめば出るような音を発すること、などがわかった。これらの多くは新発見である。第二に、マハレにおいて文化的行動パターンの発達過程について横断的・縦断的に調査をおこなった。その結果、採食行動、毛づくろい行動、遊び、求愛誇示、道具使用、攻撃的誇示、の順に行動の個体発達が早く見られること、多くの行動が離乳期(4-5歳)に一応の完成を見ることが明らかになった。文化的情報の伝達方法については、Grooming-band-claspが母親による子供へのmouldingの結果であることを示唆するデータが得られた。もし、この点が証明できれば、野生チンパンジーによる「積極的な教育」として、初めての例となる。今後、母子間の毛づくろいの観察例数を増やすことによって、解決できよう。他に、大人の社会関係の性差、仲直り行動、Self-scratch行動、子供の遊びとLaughter、雌の発情とホルモン分泌、DNA資料の収集、などの研究もおこなった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Sakamaki, Itoh, Nishida: "An attempted within-group infanticide in wild chimpanzees"Primates. 42(4). 359-366 (2001)

  • [文献書誌] Whiten, Goodall, McGrew, Nishida et al.: "Charting the cultural variation of chimpanzees"Behaviour. 138. 1489-1525 (2001)

  • [文献書誌] Zamma: "Leaf-grooming by the chimpanzees of the Mahale Mountains"Primates. 43(1). (2002)

  • [文献書誌] Nishida: "Individuality and flexibility of cultural behavior patterns in chimpanzees"Animal Social Complexity and Intelligence,edited by FBM de Waal and P Tyack,Harvard Univ Press. (2002)

  • [文献書誌] Nakamura: "Hand-clasp vs branch-clasp in chimpanzee grooming"Behavioral Diversity of the Chimpanzee and the Bonobo,edited by C.Boesch,G.Hohmann & L.Marchant,Cambridge Univ Press. (2002)

  • [文献書誌] 西田利貞: "動物の「食」に学ぶ"女子栄養大学. 215 (2001)

  • [文献書誌] 西田利貞: "ホミニゼーション"京都大学学術出版会. 309 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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