研究課題/領域番号 |
12376002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井戸 栄治 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (70183176)
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研究分担者 |
市村 宏 金沢大学, 医学部, 教授 (10264756)
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
伊吹 謙太郎 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (00273524)
武久 盾 金沢大学, 医学部, 助教授 (90322114)
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キーワード | 霊長類レトロウイルス / HIV / SIV / AIDS / 中央アフリカ / 遺伝子解析 |
研究概要 |
本研究費による海外調査は平成12年度より開始したが、本年度(平13年度)は9月から10月にかけてカメルーン、コンゴ、コンゴ民主の3ヶ国を訪問した。本研究では、HIVやSIV等エイズ関連ウイルスの遺伝子解析から、当該ウイルスの起源と進化を明らかにすることを目的としており、そのために遺伝的多様性の最も大きい、即ちその起源地と推定される中央アフリカを調査舞台としている。今回の調査では、昨年に引き続き各国からエイズ患者および種々のサルを中心に血液材料を採集した。これまでの遺伝子解析の結果によると、コンゴにおけるエイズ患者の場合、サブタイプA(39%)を主としながらもサブタイプGやHもそれぞれ21%あり、周辺のアフリカ諸国とはその多様性と特徴的なサブタイプ構成で際立っていることが判明した。とりわけこれらA、G、H間でリコンビナント株が多数出現しており、しかもその割合が53%と高いことは、数年前に現れたIBNGと呼ばれるA/Gリコンビナント株がアフリカ大陸中央部のみならず東西アフリカで急速な拡大をはかっていることを勘案すると注目に値する。それからカメルーンおよびコンゴ両国ではピグミー族からの血液材料採集にも力点を置いた(約300検体)。HIVの起源探索もしくはそうした少数民族への感染拡大の2つの可能性を明らかにするためである。しかし、これまでの解析では同一居住地区のバンツー系住民からはHIV陽性者は見当たるもののピグミー族からは検出されておらず、まだウイルスの浸淫は起こっていないものと思われた。またコンゴのピグミー族については8名がHTLV陽性と判定されたが、これらの遺伝子解析の結果典型的な中央アフリカ型であることが明らかとなった。
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