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2000 年度 実績報告書

新しい現象学から見た集合心性論の新しい可能性についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 12410002
研究機関京都大学

研究代表者

小川 侃  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (60065878)

研究分担者 岩城 見一  京都大学, 文学研究科, 教授 (40025086)
吉田 和男  京都大学, 経済学研究科, 教授 (40182753)
有福 孝岳  京都大学, 総合人間学部, 教授 (20031586)
高橋 憲雄  広島大学, 総合科学部, 教授 (80179506)
金田 晋  東亜大学, 総合人間・文化学部, 教授 (50034591)
キーワード新しい現象学 / シュミッツ / 集合心性 / 雰囲気 / 生活世界 / アナール派 / 身体 / 感情
研究概要

平成12年度においてまず新現象学における身体・感情・雰囲気の概念を再検討した。特に「意識」の間主観的で社会的な意味を明らかにして,集合心性の現象学の体系化のための共同研究の基礎を築いた。その際にシュミッツの身体と雰囲気の概念を現象学的身体の観点から根本的に検討した。シュミッツがさらにベーメの雰囲気論にどのような関わりを持つのかという問題を深い次元において把握することにつとめた。
両者の雰囲気概念の差異については、平成13年3月3日と4日にシュミッツ、ベーメ、グロスハイム、ホイベルという新現象学運動の人々を招待して、国際会議を開いたときに明かになった。
基本的に、新しい現象学の在り方を確認した。新現象学は、隣接諸科学との対話と学際性を押し進め、まさしく、事柄そのものに立ち帰って研究している事が明かになった。しかも学際性を重んじるということは、決して、様々な専門分野に拡散して本来のテーマを見失うということではない。さまざまな主題を貫く赤い糸となる新現象学の主なテーマは、「世界の内にある人間」もしくは、「環境の内に生きる人間」なのである。この場合に、人間は、もっぱら身体をもって雰囲気のなかに生きる存在として捉えられている。このときの雰囲気は、けっして曖昧模糊なのではなく、むしろ、人間を取り囲む一種の「気」なのである。「気」こそ人間の行為を拘束する集合心性である。
この会議では、雰囲気をめぐってシュミッツとベーメの間で激論が交わされ、彼等の差異が明瞭になった。要するに、ベーメは、雰囲気を作るとか作り替えることが可能だとみる。それに対してシュミッツは、ベーメのいう雰囲気とはじつは全体的な状況というべきものであり、雰囲気の概念を誤解していると批判した。シュミッツは、よりハイデッガーに近い所に定位しており、雰囲気(ハイデッガーでは気分と呼ばれる)を作り替えることはできないというものだった。

研究成果

(2件)

すべて その他

すべて 文献書誌

  • [文献書誌] 小川侃: "風の現象学と雰囲気"晃洋書房. 263 (2001)

  • [文献書誌] 小川侃(共著): "雰囲気と集合心性"京都大学学術出版会. 400 (2001)

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公開日: 2002-04-02   更新日: 2016-04-21  

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