研究課題/領域番号 |
12410010
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
野崎 守英 中央大学, 文学部, 教授 (30172787)
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研究分担者 |
加藤 敏 自治医科大学, 精神医学教室, 教授 (30194814)
弘 睦夫 広島大学, 名誉教授 (80033504)
加藤 信朗 東京都立大学, 名誉教授 (60083200)
土橋 茂樹 中央大学, 文学部, 助教授 (80207399)
田中 久文 日本大学, 理工学部, 教授 (30197412)
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キーワード | 価値語・評価語 / 日常と非日常 / 超越と日常 / 価値創造 / 徳目 / 武士道と儒学 / 形容詞の価値語性 / 価値と事実 |
研究概要 |
本研究計画の最終の年になる本年度は、まとめの意味で、夏に研究集会を行い、6人の発表を聴くことができた。さらに、その発表を元に討論の機会を得た。発表したのは以下の方がたである。(1)川那辺保明「"Je pense"と"On me pense"について」(3)弘睦夫「価値語についての記号学的考察(3)」(3)片山洋之助「日常について」(4)田中久文「三木清にみる価値創造の論理」(5)横田理博「新渡戸稲造の『武士道--日本の魂』をめぐって」(6)窪田高明「徒然草における価値語の様態」。 討論のうちで共通認識として、次のことが明らかになったと思える。 価値語・評価語のあり方にかかわって考えを進めるあり方には、大旨、少なくとも三つの方向がある。第一にあるのは、価値を含む言葉はそもそもどのような組成を備えてある、と見定めるのが妥当なのか、事実を示すとみなされる語と価値を示す語とは、どんな位相の差を示すものとしてあるのか、あるいはそうした位相の違いといったものなどはそもそもないと定める視点を立てることもできるのかどうか、といった点について、事を抽象する方向に眼を据えて思索を試みる、といった質の究明である。第二には、徳目としてしばしば話題にされる質の概念、あるいはもう少し広い幅で、人の価値指針となるような概念の成り立ちや意味を問う、といった視点からの究明がある。儒学が倫理思想の体裁をとって問題にされる際には、そうした側面がとりわけ立ち上がることになる。旧来、この面の検討は、かなりなされることがあった、といえる。第三としてあるのは、広く日常にも用いられている言葉のうちに含まれている価値指示のあり方(たとえばさまざまな形容詞のうちに籠められているさまざまな価値内包性といったあり方)について、その意味内包のさまざまな方向の検討を試みるといった質の究明である。 このことを相互の了解事項として、報告書のための原稿を書くことを申し合わせた。
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