研究概要 |
平成12年度の研究内容は、以下の3点である。 1.用語の定義のための資料収集:宗教行事に伴う行列の行為を意味する用語の収集と定義付けのため、文献収集を行なった。その結果、日本語では、行列、巡礼、お山参り、参詣、**詣で、行道、道行、お練り、練供養、練行衆、道行,花道、橋懸りなど、非常に多くの用語が存在すること、また、行列する先にある聖地,寺社,内陣などとの間の境界となる鳥居、門、結界などについても、行列の行為と併行して考える必要があることがわかってきた。資料収集の過程で、岐阜県立情報科学藝術大学院大学の横山正研究科長所蔵の文献を閲覧させていただけた。 2.研究計画の打ち合わせ:平成12年9月、バンベルク大学のDr.Baumann,Dr.Fujie,エーランゲン大学のDr.Ackermannの3氏と茂手木で、バンベルク大学で会議を行ない、本研究の全体計画を作成した。その結果、行列の様態の分類の必要性(直線的な行列、らせん状の行列、往復する行列、片道だけの行列など)、行列という行為と場の空間構成方法とのかかわりも考慮することにとした。研究の重点としては、行列への参加者(彼等は同時に演奏者ともなりうる)へのインタビューを行ない、行列の目的、行列と音楽との関わり、行列の行為の過程での参加者の意識の変化と音楽との関係などについて明らかにすることとなった。また、神田はキリスト教部分についても研究に加わることになった。 3.宗教的行事、土俗信仰行事の実態調査:これについては、新潟県上越市桑取谷の「鳥追い」(1月14日-15日)、長野県松本市追倉地区の「お八日の綱引き」(2月8日),東大寺二月堂修二会(3月1日-15日)、およびオーストリアにおける調査(神田より子担当)を行なった。
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