研究概要 |
本年度は書き割り効果を取り上げ,(1)視差情報のスケーリング,(2)背景との奥行き対比の効果,の二つの視差情報と知覚される奥行きとの関連を検討した.(1)のスケーリングに関しては,対象の視角を一定に保ったまま観察距離を変化させた実験を行い,理論から予想される逆2乗法則の適合性を検討し,2乗法則はある程度成立するが完璧なものではないことを見いだした.さらに,実寸で,実際の距離に提示したステレオ写真における書き割り効果の生起についても検討し,実寸大きさのステレオ写真に置いても,書き割り効果が成立するが,その程度は小さなものよりも弱まることを示すことが出来た.(2)の対比効果については,第一項と同様の実験を背景の有り,無しの場合について行い,対比効果を検討した.この実験では,短観察距離の条件は通常の実験室で行ない,長観察距離の条件は,大型ステレオプロジェクタ,および本年度導入したヘッドアップディスプレー装置を用いて行った.
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