研究概要 |
裸眼立体視の像の大きさに関する検討をすすめた。この問題でキーになることは,輻輳の情報から奥行きを知覚できるのかという問題である。教科書などでは,数m以内ではそうした知覚が可能であるとされているが、Erklensら(1985)は1m程度の距離について否定的な結果を得ている。さらに,我々は50cm程度の観察距離においても,輻輳からは距離知覚が生じないという結果を得ている。こうした事実を考慮に入れた上でハプロスコープ使い,輻輳角を系統的に変化させる実験を行い,(1)輻輳情報の距離知覚への影響は存在する,(2)輻輳情報は大きさの知覚にも影響する,(3)その両者が相反する情報となり,通常の距離知覚には輻輳の効果は少ない,(4)輻輳からは距離の知覚には直接反映しない距離の内部表現が存在するなどの諸点が明らかになった。
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