研究課題/領域番号 |
12410026
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
辻 敬一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (20023591)
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研究分担者 |
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30089099)
詫摩 武俊 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (90086934)
西川 泰夫 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70053642)
三浦 利章 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00116104)
苧阪 直行 京都大学, 文学研究科, 教授 (20113136)
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キーワード | 心理学史 / インストゥルメンテーション / 日本の実験心理学 / 機器保存 / 機器利用 / 機器データベース / 研究方法論 / 実験心理学 |
研究概要 |
近年、欧米諸国の心理学分野における学史への関心の高まりを反映し、研究者のアンソロジーに加えて、研究環境の情報を収集して過去の実証研究を適切に評価する試みが行われるようになった。本研究は、そのような目的意識にもとづき、本邦の心理学、とりわけ実験心理学領域の進展を、それを支えた研究環境に照らして検討しようとしたものである。 本研究の期間内には資料の収集、整理に力を注ぎ、本邦心理学の草創期および第二次大戦前後に焦点を当てて当時の状況を分析、再現することに努めた。得られた成果については今後逐次公表していくが、全国の主要大学に所属する分担研究者がそれぞれの研究室のみならず同一地域の実験心理学関連史資料の分析、現存する古い実験機器の保存とそのデータベース作成を行い、加えて学術誌所収論文から本邦実験心理学におけるインストゥルメンテーションの発展過程を明らかにする試みを行った結果、実験機器利用の在り方に顕著な時代的変化や領域間の差異が認められた。他方、学史的価値のある機器・装置類の保存については、きわめて困難なことが明らかになった。このような状況を招いた要因は、近年の急進的な大学組織改革、狭隘な教育研究環境、ソフトウェア重視の実験デザインなど、複合的だと思われるので、もはや一部の大学や研究者の努力に依存するのみでは、学術上貴重な実物史資料の散逸・破棄を防止できそうもない。可及的速やかに、関連諸学会を中心とした対応が求められる。 なお、当初予定していた海外における関連資料の実地調査や全体会議における問題検討は諸般の事情から実施できなかったが、将来的には、この種の活動を国際的連携の下に推進することも必要となろう。
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