研究分担者 |
増田 尚史 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 助手 (90335018)
川合 伸幸 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助手 (30335062)
山本 裕二 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (30191456)
沖田 庸嵩 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (70068542)
白石 知子 愛知県立看護大学, 看護学部・看護学科, 助手 (60275154)
|
研究概要 |
意味処理に関する従来の研究は,言語処理に閉じた系で進められてきた.しかし,意味処理は,言語表現には馴染まない感情や運動・行為からの影響をも受け,言語に特有な閉鎖系処理ではない.意味処理は,言語と非言語情報間にわたる協調的処理であり,さらに身体行為を通しての環境への働きかけと,それに伴う環境からの働きかけを反映した開放系で生じる統合的処理である. 意味処理が,複数の情報チャンネルにわたる統合処理であると見なし,次の4点について検討を加えた. (1)システムとしての漢字表記の特性 (2)「自己に関連する情報喚起の自動性(自発性)」. (3)ジェスチャーなどの非言語情報処理と言語情報処理との相互作用. (4)実践的な行為についての説明を理解につなぐ知識処理と,理解を行為の遂行につなぐ知識処理. 本研究を通して,時間軸上で連続すると見なされる情報をいかに結合し,統合するのか,その「つなぐ知識処理」の重要性がクローズアップされた.この「つなぐ知識処理」は,言語情報処理,あるいは視覚情報処理という,いわば一つの情報処理チャンネル内に閉じた処理ではなく,異種情報チャンネル間にわたる開かれた処理であると考えられる. 例えば,ある運動を特定の行為であると見なす「つなぐ知識処理」は,視覚的に捉えられるかたちに対して結合と分離処理を施し,それによって生じる変化を運動の基本部品として時間軸上に表現することに関わっている.同時に,「つなぐ知識処理」は,それらの視覚的な結合と分離処理に対する記号処理の介入,つまり言葉による状況の連結と文節化とを受け付けることにも関与している. 意味処理における統合的処理過程は,理解や行為を行う主体側の要因と,その処理活動を促す環境側の要因からの影響を受けると考えられる.今後,両側面からのダイナミックな検討を必要とする.
|