研究概要 |
(1)ラットとマウスを用い,刺激順序の長期記憶を検討するため,音の種類(高低)とその提示順序(前後)それぞれの弁別を直接比較できる記憶課題について,装置の種類や刺激提示のパラメータを中心に検討した。装置関係はほぼ決定したが,刺激のパラメータ等については,まだしばらく体系的な検討を要する。 (2)電極近傍の全てのニューロン活動をもれなく検出するための特殊なテトロード電極と,それらを海馬と側頭皮質それぞれに配置し独立に操作できるような小型マイクロドライブの開発を進めた。テトロード電極は15ミクロンのタングステン・ワイヤーを用い,それを200ミクロンのステンレスチューブに入れて作製した。また,テトロードの欠点を補うため,さらにワイヤーの数を増やしたトリロード電極の開発も試みている。小型マイクロドライブは,強度と小型化の調和が困難であり,まだ完成に到らないため,さらに検討を進めている。 (3)データ解析法についても,複数のニューロン活動を個々のニューロン活動に分離するため,より精度の高いクラスターカッティング法と,ニューロン間の機能的シナプス結合とその変化を検出する独立成分分析法を中心にし,開発を進めている。また情報幾何学に基づき,複数のニューロン間の機能的結合を一気に視覚化できるような新たなソフトウエアの開発も試みている。また,複数ニューロン間の一過性の機能的結合も正確に検出するため,数ミリ秒の狭い時間ウインドウ内に収まるような同期的活動を次々ととらえていくunitary event法の改良も試みている。
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