研究課題/領域番号 |
12410029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
箱田 裕司 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50117214)
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研究分担者 |
原口 雅浩 久留米大学, 文学部, 助教授 (80228634)
蒲池 みゆき 国際電気通信基礎技術研究所, 先端情報科学研究部, 客員研究員
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 非対称的混同効果 / 削除 / 追加 / 生物画像 / 違和感 / 認知 / シーン / 印象 |
研究概要 |
通常、追加変化は削除変化よりも認知されやすいことが知られている。この現象は非対称的混同効果(asymmetric confusability effects, ACE)と呼ばれる。本研究では、自然画像とりわけ生物画像に加えられる変化の認知におけるACEとその背景にある機序について調べた。次のようなことが明らかになった。 (1)従来のACEに関する研究には方法論的問題(追加・削除変化と典型的表象からの逸脱・復元)が交絡していることを指摘し、この問題を操作するための新たな実験パラダイムを提案した。 (2)顔写真配列の変化の認知においてもACEが見られるか、顔写真の人物が与えるパーソナリティ印象がACEにどのような影響を及ぼすかを検討した。その結果、変化する顔の人物が個性的であるという印象を与える場合のみ、追加変化が削除変化よりも認知されやすいというACEが認められた。 (3)生物画像(蝶と猫)を用いて子どものACEを調べたところ、蝶では追加優位のACEが、猫では削除優位のACEが認められた。この結果のプロフィールは大人と同じであった。 (4)日常のシーン(公園、駅のプラットホーム、学校の教室など)に含まれる事物の追加・削除変化の認知におけるACEについて調べた。この結果、一般に追加変化は削除変化よりも認知されやすいが、これは印象とりわけ違和感によって媒介されていることが示された。 (5)印象と認知の間にどのような関係があるかということについて、顔や声を対象として関連研究を行った。 これら一連の研究から、非対称的混同効果は様々な刺激材料において、そして大人でも子どもでも認められる現象であり、通常、追加変化は削除変化よりも認知されやすいという形での非対称性が見られるが、場合によってはこれが逆転することもある。この背景には、刺激変化に対する印象変化とりわけ違和感の役割が存在することが明らかになった。
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