研究課題/領域番号 |
12410036
|
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
今塩屋 隼男 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30044952)
|
研究分担者 |
小西 賢三 吉備国際大学, 社会福祉学部, 教授 (60068583)
沖田 庸嵩 札幌学院大学, 社会情報学部, 教授 (70068542)
|
キーワード | 事象関連電位 / 顔関連電位 / 顔認識モデル / 発達 / 自閉症児・者 |
研究概要 |
本研究は、近年研究が進められている顔に関する事象関連電位(ERP)を用いて、これまで行動指標によってのみ推測してきた自閉症児・者の顔認知機能について、精神生理学的立場からその処理機能を具体的に時系列を追って検討するものである。本年(平成12年)度は、(1)自閉症児・者に本電位を用いるための最適条件を決定することを目的とした健常児・者の顔電位の検討と、(2)本電位の発達的変化についての検討を行った。 [研究I]最適条件の検討 対象者を健常成人として、種々のヒト顔(自己顔、既知顔、未知顔、動物顔)および物品を提示し、それぞれの刺激に対するERP反応を測定した。その結果、人の顔に特異に増強するERPのN170成分と、顔の既知性に反応するN270成分を確認した。同時に、これらの電位成分は、Bruceらの顔認識モデルと対応のとれるものであることも明らかとなった。 [研究II]発達的検討 対象者を4〜15歳(各年齢20名)として、種々のヒトの顔(自己顔、既知顔、未知顔、動物顔)および物品を提示し、それぞれの刺激に対するERP反応を測定した。その結果、(1)人の顔に特異に増強するERPのN170成分は、小学生の段階ですでに観察され、加齢とともに潜時の短縮と振幅の増加が生じることが明らかになった。また、児童期には顔の既知性判断に関するN270成分が未成熟の状態にあることが示唆されるデータが得られた。(2)自閉症児・者に適応するための基礎データを得ることができた。 次年度においては、測定法の改良を施し、自閉症児・者の顔関連電位の測定を行う。
|