研究課題/領域番号 |
12410037
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大神 英裕 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20020141)
|
研究分担者 |
干川 隆 熊本大学, 教育学部, 助教授 (90221564)
大野 博之 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (00037037)
別府 哲 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20209208)
南 博文 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (20192362)
遠藤 利彦 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (90242106)
|
キーワード | 共同注意 / 行動的指標 / 発達時期 / 乳幼児期 / 標準化 / コミュニケーション障害 / 早期スクリーニング / 発達メカニズム |
研究概要 |
1.前年度に開発した共同注意の発達に関する質問紙の改訂版を作成した。発達年齢の外部基準妥当性を検討するために、これに遠城寺式発達検査と新版K式発達検査の一部を追加して最終的な質問紙とした。 2.福岡県前原市・志摩町・二丈町における平成12年及び平成13年の出生児全員(約2000人)を調査対象とし、生後8ヶ月から18ヶ月まで2ヶ月ごとに本調査紙を郵送・回収している。本調査は現在も継続中である。 3.現在までに回収したデータ(3456名)を集計し、様々な共同注意行動の発達時期を特定した。つまり、新版k式発達検査に準じて、標準化手続きを施した。その結果は九州大学紀要(2002)、日本発達心理学会(2002・3)に公表した。 4.それぞれの共同注意行動の初発月齢は、指差し理解が9ヶ月頃から始まり、呈示/手渡し行動が出現した後に、指差し産出が生じることが明らかになった。さらに、その後、ふり遊びに見られる表象系の発達を経て、15ヶ月頃から他者の苦痛の理解や慰め行動のような向社会的行動が出現することから共同注意は幾つかの行動的および心的メカニズムが複雑に絡んで発達することが示唆された。 5.3456名の標本を基に横軸を月齢、縦軸を発達年齢(標準得点)とした散布図から、-1SD-2SDでゾーニングすると、臨床域(-2SD以下)にいる乳幼児は共同注意の発達の遅れが推定された。そこで、18ヶ月健診時で問診・行動観察を開始したが、現在までのところ、臨床域に乳幼児は、言葉の遅れ、注意調節の不全、あるいは自閉傾向が疑われる場合が多く、本調査が早期スクリーニングの機能を持っていることが示唆された。
|