1)幼児用かな文字入門教育プログラムの開発:MacintoshのHyperCardを用いて、これまで第一学年用に作成したソフトを改良し、新たに、ひらがな読み・書き用(執順)(71文字)辞書等を加え、全くかな文字の読み書きできない幼児でも、その読み書きが容易に学習できる全12ステップからなる幼児用かな文字入門教育プログラムを作成した。 2)学習障害の危険が高い幼児に対する予備的教育訓練:そして、教育相談機関の専門家が学習障害の危険が高いと診断し、かな文字の読み書きがほとんど未習得か、読めても書きの習得が困難な幼稚園年長児6名に対して(2名については9ヶ月間、4名について6ヶ月間)、毎週2回の割合で、中央大学行動観察室及び川崎市ことばの教室で教育訓練を試みた。コンピューターを用いた教育は、幼児によく受け入れられ、読み書き、あるいは書きの習得の確実な進歩と共に、注意の集中力と学習態度に顕著な改善が認められた。 3)学習障害予防のためのスクーリニング検査:言語、運動、空間、注意、記憶等に関する約80項目の検査票を作成し、2-3月に都内、川崎市の5幼稚・保育園の16人の担任教師、保母に依頼し、問題のある幼児と健常児約100名について観察評価を実施した。 4)個別発達スクリーニング検査、個別診断検査:同時に、そのうち約70名の幼児を対象に、かな文字の読み、数唱、計数、記憶、図形模写、言語調整、注意に関して、個別検査を実施した。さらに、そこで、発達に遅滞が認められた幼児に対し、個別の知能検査を実施し、学習障害になる危険性が高いと思われる幼児を、これまで6名見つけ出した。 5)今後の計画:4月に、補充的な検査を行い、学習障害に危険性の高いと思われる幼児若千名を見つけだし、8名の該当年長幼児を対象に、2年間の計画で、これまで開発したプログラムと新たに開発予定の認知プログラムを用いて、教育訓練を実施する予定である。
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