1)2001年春に約180名の5歳児を対象に実施した診断調査研究によって、5歳期に学習障害の危険性の高い幼児を見つけだすことができる診断システムを開発することができた。この診断の妥当性は、2002年春に実施した就学準備性についての調査研究で確証された。 2)学習障害予防のための多種の教育プログラム(コンピュータ・ソフト)を開発した。それらは、(1)コンピュータ入門プログラム、(2)ひらがなの読み方入門プログラム、(3)漢字の読み書き学習プログラム、(4)十進法学習プログラムで、その他に、様々な対象の分類操作の学習を基礎にした語彙プログラムが開発された。 3)われわれは、学習障害の危険性が高い10名の5歳児に対して、2001年6月から2003年3月まで、コンピュータや上記のプログラムを用いて個別教育により教育実験を実施した。われわれの約2年間にわたる教育的な介入の結果、2002年3月の第1学年修了時に実施した、国語、算数の学力、知能の関する最後の評価検査で、これら10名のうち、6名が学習障害が予防されていることが確認された。 4)資料の分析の結果、このような特別教育によって学習障害が防止できるか否かの可否は、就学期までに就学準備性が形成されているかに多く依存していることが明らかにされた
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