研究概要 |
I.「高齢者のストレス・モデルの構築とストレス・マネジメントの研究」(1) 中高年の日常ストレッサーを測定するために尺度を作成した。この尺度は,39項目からなり,9っの因子構造をもっている。各下位尺度のα係数は,.71-.88で,比較的高い内的整合性をもった尺度である。また,内容的妥当性や構成概念妥当性も高く,十分使用に耐える尺度である。この尺度を高齢者群や大学生群に実施してデータを分析した。 ストレッサーの性差と年代差について検討したところ,退職前もしくは再就職時の男性と65歳以後の女性に,仕事上のストレッサーが大きいことが明らかにされた。また,ストレッサーとストレス反応,適応感の間には,極く一部を除いて有意な関係がみられなかったことから,各項目の嫌悪度を測定する必要性が指摘された。 II.「高齢者の回想法の効用と限界の検討」(1) 回想法の効用を検討するために,どのような回想が高齢者の適応に有効であるかを明らかにする研究を行なった。そのために,526名の高齢者を対象に回想機能尺度を実施して回想に,「両価型」「否定型」「積極型」「叙述型」の4つのタイプがあることを見いだした。そして,このタイプによって適応や人生満足感が異なることがしめされた。 III.「痴呆高齢者に対する行動療法プログラムの開発」(1) 老人病院へ入院中の痴呆高齢者を対象に,行動観察を行い,資料を収集した。
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