今年度は昨年度実施した教師の全国調査のデータ解析を中心に研究を進めた。教師の全国調査はこれが初めての試みであるために、データを分析することによって意外な事実が明らかにされた。たとえば、民間人の管理職への採用に賛成か反対かについてみると、賛成の比率が高い地域としては香川県(29.2%)、山梨県(25%)、福井県(22.7%)、群馬県(22.5%)神奈川県(21.6%)であることが明らかにされた。反対に採用に反対の比率が高い地域としては大分県(76.9%)、広島県(56.8%)、奈良県(56.5%)、宮崎県(52.2%)、沖縄県(51.9%)となっていることが明らかにされた。このように、かなり同質的と考えられている教師の意識も地域による差が大きいことが明らかにされた。同様に、女性の管理職への登用についても地域差が認められ、女性の管理職を「ふやすべきである」という比率は福井県、長野県、新潟県、島根県などで高くなっていることが明らかにされた。反対に「いまのままでよい」の比率が高い地域は岩手県、石川県、福岡県、東京都などであることが明らかにされた。調査では生徒の非行や不登校児など8項目の困難を設定し、教師が過去1年間に経験した困難をすべて選択してもらった。困難にも地域差が認められ、たとえば非行の比率が高いのは宮崎県、和歌山県、沖縄県などであることが明らかにされた。こうした困難を合計することによって教育問題が多い地域を明らかにすることができるが、合計点が高い地域としては大阪府、静岡県、鳥取県などであることが明らかにされた。なお、今年度は茨城県内において教師2000名を対象とした意識調査を実施した。
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