地域社会と大学とのかかわりについて、平成12年度前期においては、大学が立地している二つの地方都市について、市民と大学とのかかわりついての市民意識調査を実施した。さらに、後期には、当該の地方都市に立地するB、C2大学の学生および教員に対して地域とのかかわりについての質問紙調査を実施させていただいた。これによって、2地域について当該の市民、学生、教員のそれぞれについてほぼ統一した形式でのデータをうることができ、総合的な比較分析が可能となった。 以上の比較研究に関して、分析は未完ながら成果の発表として福岡県立大学公開講座において、木下、中村、文屋が、それぞれ「総論・大学と地域社会」「地域社会における学生生活」「『地域社会と大学』に関する田川市民意識調査結果」として中間報告を行った。総合的には、大学の規模に、地域社会の認知度が相関していること、学生の好感度は逆に学生数が少ない方が好感度が高いことなどが指摘できる。また、地域住民の期待としては、望ましい大学像として、どちらかといえば地域課題に限定した研究より、広く真理の探究にむけた研究に期待が大きいこと、教員も研究分野と地域貢献とのバランスは重要であるが、地域の期待と教員の意識に大きな開きはないことなどが指摘できるだろう。 後期には、事例調査として、地方都市に立地する6つの大学にヒアリングを実施したほか、機会を捉えて、長崎市、多摩地域、広島市などの視察をおこなった。4年制大学の本部及びキャンパスの立地する基礎自治体は、現在、360市区町村ある。このすべての自治体に対し、地元に立地する大学に関するアンケート調査を実施した。 本年度は、以上の5種類の調査を実施し、13年度は、分析および研究成果の発表に取り組む予定である。
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