研究課題
本年度は北海道地域(帯広市・周辺町村)と東北地域(仙台市・周辺町村)の調査とアメリカ合衆国ウイスコンシン州および韓国の老人施設および老人の生活実態を中心として比較研究を実施した。まず、老人の生活実態をとらえ、在宅と施設入所にかかわる老人の現状を比較の対象としてみると、アメリカ合衆国ウイスコンシン州と韓国と日本とでは、共通点が少なからず存在するにもかかわらず、大きな開きがある。韓国の高齢化は、日本よりも15年は遅れてスタートし、アメリカは日本よりも15年は早い。しかしながら、アメリカは、価値観の多様性ゆえに、所得による施設の内容の分化がめだっている。それに対して、日本でも所得による分化以上に平等化がすすみ、より均等な享受が多く見られる。一方、儒教の影響力が大きい韓国は、施設よりも親子の同居による伝統的な構造がなお強く残っている。しかし、すでに、親から独立して居住している子が増えつつある状況では、都市と農村の分化だけではなく、より構造的な分化が形作られてきつつある。以上の家族構造の変化の側面のほか、政治構造における女性の進出の問題、情報化による都市と農村、国家間の距離の縮小などの問題がすでに今年度の調査結果から出されている。
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