研究課題/領域番号 |
12410067
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河東田 博 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (80258318)
|
研究分担者 |
芥川 正武 徳島大学, 医療技術短期大学部, 助手
孫 良 四国学院大学, 社会学部, 助教授 (90299355)
新保 穏子 四国学院大学, 社会学部, 助教授 (50270012)
|
キーワード | 知的障害 / 入所施設 / 地域の住まいへの移行 / 地域生活支援 / スウェーデン / イギリス / ドイツ / 日本 |
研究概要 |
福祉先進国では、知的障害をもつ人たちの入所施設を閉鎖し、施設で暮らしてきた人たちの住まいを地域に移行しようとする動きが急速に進んできている。日本ではこのような動きはまだ見られないが、障害者プラン完了後の2003年以降には、地域生活支援体制の整備に伴い、入所施設から地域の住まいへの移行が促進されていくものと思われる。そこで本研究では、今後日本で知的障害をもつ人たちの入所施設から地域の住まいへの移行に際して求められてくる支援策を念頭におきながら、文献研究や現地調査を基に、スウェーデン、イギリス、ドイツにおける入所施設縮小・閉鎖と地域居住化決定プロセスの途上で見られた問題と課題を明らかにした。 スウェーデンやイギリスなどのような入所施設がほとんど閉鎖された国々では、施設閉鎖を促す先駆的取り組みを拠り所に法律の策定や制度作りが行われており、国全体の閉鎖計画に決定的な影響を与えていたことが判明した。一方、入所施設閉鎖により、施設利用者に劇的な変化がもたらされた反面、家族や職員には大きな負担が負わされることが多く、立場や人によっても見解が異なることが判明した。ドイツではまだ施設中心の施策がとられており、入所施設を縮小しようとする動きはまだ限られていた。わずか7年で半数以上の人たちを地域の住まいに移行させた施設では、今なお休むことなく改革が続けられているが、職員の個人的負担に依存していることが多く、地域生活支援の内容にも検討の余地が見られていた。なお、本研究の結果明らかになった最も大切な点は、入所施設から地域の住まいへの移行にあたっては、本人・家族等当事者の政策(支援策)決定プロセスや評価・点検作業への参加・参画であり、地域生活を支える具体的な人的・物的支援の必要性であった。
|