研究課題/領域番号 |
12410067
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 立教大学 (2002) 徳島大学 (2000-2001) |
研究代表者 |
河東田 博 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (80258318)
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研究分担者 |
芥川 正武 徳島大学, 医学部, 助手 (90294727)
孫 良 大阪人間科学大学, 人間科学部, 講師 (90299355)
新保 穏子 立教女学院短期大学, 幼児教育科, 助教授 (50270012)
赤塚 光子 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (10318686)
高橋 紘士 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (00171520)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | スウェーデン / イギリス / ドイツ / 日本 / 知的障害 / 入所施設 / 地域移行 / 地域生活 |
研究概要 |
本研究は、入所施設から地域の住まいへの移行をどうしたらスムーズに行うことができるのか、また、移行後の地域生活をどう支援していったらよいのかを検討する目的で行われた。目的達成のため、2001年8月から2002年3月にかけ、スウェーデン・イェテボリ、イギリス・リバプール、ドイツ・アンハルト・日本・大阪で、元施設利用者、家族、施設職員を対象に面接法による調査が行われた。 調査の結果、スウェーデンやイギリスにおける地域移行は1970年代から始まり、1980年代半ばから本格化し施設解体をもたらすようになったものの、ドイツや日本においては今尚入所施設が数多く存在し、地域移行も一部の人に止まり、不十分な状態にあることがわかった。また、どの国でも自分の意志で施設に入所した対象者はおらず、施設生活にも良い思い出をもっていなかった。施設を転々としている人や地域移行後も住まいを変えている人がいた。地域移行に関して対象者本人にも家族にも納得のいく形で分かり易く説明され、安心して地域移行がなされているわけではなかった。地域移行に際して見られた対象者本人や家族、職員の意見も三者三様であった。どの国でも地域移行後ほとんどの対象者が地域生活を楽しんでいるように見えたが、対人関係がグループホームの人たちに限られていることが多く、自由に恋人や友達をもって交遊できる環境にはなかった。そうした中にあっても、結婚している人、同棲している人たちの交際範囲は、単身者と比べて広く、良い日常生活を送っていた。 在宅から入所施設へ、入所施設から地域の住まいへと波乱万丈の生活を余儀なくされてきた対象者は、多くの問題や課題を抱えながらも、総じて地域への移行を二度目の人生を豊かに送ることのできる「肯定的な体験」と受け止めており、自分たちの生活や人生を取り戻す必要不可欠な要件となっていることが判明した。また、地域移行後の生活支援はどの国でもまだ不十分で、物理的環境の整備だけではなく、機能的、心理的な面での支援が特に必要とされていた。
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