研究課題/領域番号 |
12410074
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
恒吉 僚子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50236931)
|
研究分担者 |
志水 宏吉 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (40196514)
藤田 英典 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30109235)
佐藤 学 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70135424)
レヴィアルヴレスト クロード 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教授 (80284123)
馬越 徹 名古屋大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60000030)
|
キーワード | 市民性教育 / シチズンシップ / 公共的モラル / 公民教育 / グローバル教育 / 多文化教育 / 国際比較研究 |
研究概要 |
本年度は、イギリスの海外調査、及び、研究の総まとめとして各国から5人の海外協力者を招いての公開国際シンポジウムが行なわれ、100名の出席者と共に、終日、活発な意見交換が行なわれた。 市民性教育は多面的であり、また、その社会的・文化的コンテクストによっても多義的である。こうした市民性に関連した教育の多面性を四つの断面をもって検討分析した。 第一の断面は、市民性の教育の理論的枠組みに関連するものである。従来の国民国家の枠内に限定されず、グローバルな時代における市民性教育の理論的土台をどう組み立てるのか(Ne Noddings)、異なる社会的コンテクストにおける市民性概念の多義性等について、検討された。第二の断面は、今日における多文化状況が提起する市民性教育への課題である。ここにおいては、ヘブライ大学のChaim Adlerによる、イスラエルでの市民性教育、June Gordonによるアメリカにおける多文化教育的な市民性教育、そして、昨年度、多民族国家マレーシアの発表をしたRosnani Hassimの問題提起も受けながら行なわれた。世界の国々の中でも相対的に単一文化意識が強いと言われる目本における市民性教育の多文化性、多元性についての分析もなされた。第三の断面においては、市民性教育と政治の関連性が検討され、イギリスにおける状況(Paul Standish)の発表と共に、韓国における市民性と政治、また、一昨年度発表のジェンダー視点からの問題提起(Madeline Arnot)を受けての分析、そして、日本の特徴についての分析が加えられた。第四の断面は公共性の議論であり、協力者Jean-Paul Payetをはじめ、活発な問題提起がなされた。こうした意見交換と分析を踏まえ、各自が結果を踏まえた分析を整理し、今年度中に東京大学出版協会からの出版を予定していると共に、英語版出版への交渉に入る予定である。
|